農学生命科学図書館 本館耐震改修工事のポイント

注)以下の内容は、2009年(平成21年)7月13日開催「東京大学農学生命科学図書館 本館リニューアルオープンセレモニー」での図書館職員のミニプレゼンテーション「農学生命科学図書館 本館耐震改修工事のポイント」の原稿からの再録です。


今回の工事着工にあたって、私たちは単に耐震強度を上げるためだけでなく、利用者の方や、また業務を行う私たち自身にとって快適な空間へと再生させるための「改修」をどのように行ったらよいかについて、議論を重ねました。その議論が、どのように実を結んだのか、少しでも感じて頂ければ幸いです。

第一に、図書館を快適にお使いいただくための、居住性の確保を大切にしました。

1F(改修前)

この写真は、玄関ホールの右手奥にあります、閲覧室のスペースです。改修前は、全面ガラス張りの吹き抜け空間で、最も強度の弱い一画だったため、安全性の確保のためには、耐震壁による補強が必須でした。設計原案では、このスペースは一面が壁で覆われる予定でした。しかし、それでは部屋全体に閉塞感が出てしまいます。

1F(改修後)

そこで、窓を設けることを強く依頼し、安全性と居住性のせめぎあいの中で、この空間が生まれました。その結果、部屋からは南に面している圃場の緑が見通せ、また柔らかい光が差し込む空間となりました。

閲覧室の奥にある階段を上った中2階には「ブラウジングコーナー」がありますが、こちらからも、窓の向こうの緑を楽しむことができます。

2番目に目指したのは、利用者の方の利便性の向上です。3階の南に面するスペースは、これまでは事務室と館長室に使用していました。

3F事務室(改修前)
3F館長室(改修前)

これを、今回、PC端末室、閲覧室、ゼミナール室へそれぞれ改修いたしました。

3FPC端末室(改修後)
3Fゼミナール室(改修後)

これにより、利用者の皆さんがより様々な目的に応じて、便利に図書館をお使いいただけるようになりました。

館内のバリアフリー化の実現も、今回の工事で私たち図書館が力を入れた部分です。1階には、多目的トイレを新設しております。

1F多目的トイレ(改修後)

また、部屋の入口や建物の通路部分にはスロープを設けました。さらに、私たちの悲願であったエレベーターも新設しております。

1Fエレベーター(改修後)

これらの設備は、私たち図書館の業務効率化にも役立っており、既に大いに活用しています。

以上、非常に簡単ではございますが、今回の工事についてのポイント紹介を終わらせていただきます。ありがとうございました。