研究科長からのごあいさつ

農学生命科学図書館は、今年で開館50周年を迎えました。この間には、大学紛争や大学院重点化、国立大学の法人化など、大学の在り方を変える様々な出来事がありました。そのような変動のなかでも、図書館は教員や学生の研究や学習を支える存在としてあり続けました。多くの同窓生の皆様にとっても共通の思い出の施設であると思います。

図書館は大学にとって必須の施設です。東京大学には、総合図書館とともに、各研究科にそれぞれの専門性に応じた図書館があります。農学生命科学図書館は、農学や生命科学分野の教科書や専門書、学術雑誌が充実した図書館であり、わが国の農学分野の学術情報を集積する拠点図書館でもあります。

私が学生の頃は、図書館にある蔵書のカード目録をめくって本を探していましたが、今は、コンピュータで研究室からでも検索できるようになりました。学術雑誌も電子化されたものが増え、全学で購入している雑誌も含めて論文の電子ファイルを研究室でダウンロードできるようになりました。教員も学生も文献を探しに図書館に出かけることは少なくなりましたが、学術情報の集積と提供という図書館機能から受ける恩恵はますます高まっています。

学生が利用できるコンピュータ端末室やゼミナール室など、学生の主体的な学びを支援する施設としての機能も増強されており、平日の開館時間も学内の図書館で最も長くなっています。

教員や学生と図書館との関わり方は時代とともに変化しますが、教育研究を支える大切な施設であることは変わりません。将来にわたって農学生命科学図書館が、農学を学ぶ皆様の拠り所となり続けられるように研究科として努めて参りますので、今後ともご支援とご愛顧の程、よろしくお願いいたします。


平成27年6月15日

東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長
丹下 健