東京大学農学部創立125周年記念農学部図書館展示企画
農学部図書館所蔵資料から見る「農学教育の流れ」
 
本邦産くるまえび属 附図九枚
岸上鎌吉著 1900
 
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『本邦産くるまえび属』
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『本邦産くるまえび属』
附図1 クルマエビ
 著者は本学水産学第一講座教授であった岸上鎌吉博士である。本書はまだ水産学科が設立される前の明治33(1900)年に農商務省水産調査報告第八巻第壱冊として刊行された。当時著者は農商務省水産局の技師であり、明治41(1908)年に水産学第一講座が農科大学に新設された際、初代教授として迎えられた。本書は当時の日本産クルマエビ属13種の形態の記載にとどまらず、発生や成長などの生活史についても触れている。本書では新種の記載や分類学的な再検討といった試みはなされていないが、日本産のクルマエビ類を丁寧に記載した点で高く評価されている。特に、各種の精緻なカラーの図は、現在でもエビの専門書に引用されている。なお、著者はサバ科魚類の研究では世界的に有名であり、その集大成が大正12年(1923)年刊行の農学部紀要第8巻第3号に掲載され、現在でもサバ科魚類研究者の必読書となっている。
(水圏生物科学専攻 谷内 透)

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