東京大学農学部創立125周年記念農学部図書館展示企画
農学部図書館所蔵資料から見る「農学教育の流れ」
 
Duhamel du Moneseau, Henri Lois
1700-1782
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"Traite general des pesches..." 
1769 標題紙
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"Traite general des pesches..."
第2章8図
 Traite general des pesches... 1769-1772
 フランス語で書かれた漁業の概論と魚類の自然史に関する古典書(1769-1777)。18世紀半ば過ぎのフランスにおける漁業の実態が紹介されている。2つのパートに分かれ、第1部は漁具や漁業についての記述、第2部はヨーロッパでの最重要魚種であるタラを中心にした魚類の形態と生態、それに漁業に関する記述である。第1部は、さらに釣漁業と網漁業の2節に分かれ、それぞれの漁具の種類、作り方、仕立て方、設置場所による様々な漁法が紹介され、この当時既に現在の漁業の原型ができあがっていたことが分かる。底引網も既にこの時代に原型ができあがっていたようだ。日本も漁業国といわれているが、この当時はむしろ日本よりは、フランス、イギリス、オランダなどのヨーロッパ諸国で様々な漁業が発展していたことが伺い知れる。精緻な図を配して理解しやすいように配慮がされている。それも単に漁具や操業形態を図示するだけではなく、人が絵に組み込まれているので、絵画的な雰囲気を醸し出している。本書は産業革命前の原始的な漁業形態を止めながらも、やがて蒸気船の発明により漁業が飛躍的に発展する前過程を図解入りで説明している興味深い書である。
(水圏生物科学専攻 谷内 透)

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