クリックすると拡大画像が表示されます Klein "Historiae piscium naturalis..." 1740

クリックすると拡大画像が表示されます Klein "Historiae piscium naturalis..." [えい目がんぎえい科]

　Historiae piscium naturalis promovendae...5 pts. 1740-1749
　ラテン語で書かれた魚類の分類に関する著書である。周知のように、動物分類学の命名規約では、1758年1月1日を出発点と見なし、クモ類を除く動物については Linnaeusの "Systema Naturae, 10th Edition"をこの日と定めている。したがって、それ以前に発行された出版物にある学名はすべて無効名（nomen nudum）になる。本書は1740年の出版となっており、当然分類学的には重きをなさない。もちろん、California Academy of Sciencesが発行した世界の魚の分類に関するデータベースである"Catalogue of Fishes"(2995pp., 1996)には、本書は参考文献として引用されていない。ただし、著者のJ.T. Kleinの1775年の"Gesellschaft Schauplatz"は引用されているが、二名式命名法でないということでOfficial indexには認められていない。本書はこのような宿命をもっているため、これほどの大著が文献として登場することがほとんどないというのは、科学書の宿命であろうか。しかし、18世紀半ばに発行された魚類の分類に関する稀覯本として書誌学的には価値があろう。また、精緻な魚体図はなかなかの見物である。

（水圏生物科学専攻 谷内　透）